潜在意識とは?無意識との違いから、夢・行動とのつながりを読み解く

「潜在意識とは?」をテーマに、無意識・記憶・習慣から意識にならない自分を読み解くSeaCret「秘術読解」のアイキャッチ

「潜在意識を書き換えれば、人生が変わる」

そんな言葉を、一度は聞いたことがあるかもしれません。

夢を叶えたい。
悪い習慣を変えたい。
もっと自信を持ちたい。

そんなとき、

「潜在意識を味方につけよう」
「潜在意識を書き換えよう」

と語られることがあります。

僕自身も、長いあいだ「潜在意識」という言葉を使ってきました。

夢を書き始めてから15年以上。
書くことで考え方が変わったことがあります。

今まで気づかなかった選択肢が見えるようになったこともあります。

そして、行動が変わったことで、実際に現実が動いた経験もあります。

だから以前の僕は、

潜在意識が変われば、現実も変わる。

そんなふうに説明していました。

今でも、この考え方をすべて否定するつもりはありません。

むしろ僕は、「潜在意識」という考え方を知ったことには、大きな意味があったと思っています。

ただ。長く実践し、学び続けているうちに、別の問いも持つようになりました。

僕たちは、「潜在意識」という言葉を知ったことで、

いったい何を分かったことにしているのでしょうか。

この記事では、潜在意識とは何かという基本から、無意識、行動、夢との関係まで整理します。

そのうえで最後に、「潜在意識」という言葉そのものを、もう一度読み直してみたいと思います。


目次

潜在意識とは?

「潜在意識」という言葉は一般に、自分では普段意識していないものの、思考や感情、判断、行動などに影響している心の働きを表すときに使われます。

よく対比されるのが「顕在意識」です。

たとえば、

「今日は何を食べよう」
「この仕事を先に終わらせよう」
「明日は早起きしよう」

このように、自分が今考えていることを自覚できる部分を「顕在意識」として説明することがあります。

それに対して、

なぜか同じ失敗を繰り返してしまう。
頭ではやった方がいいと分かっているのに、行動できない。
初めて会った人なのに、なぜか苦手だと感じる。
気づけば、いつもの選択をしている。

こうした、自分でもすぐには理由を説明できない反応について、

「潜在意識が影響している」

と表現されることがあります。

ただし、ここで最初に押さえておきたいことがあります。

心理学や脳科学に、「潜在意識」という名前の一つの場所や仕組みがあり、そこですべてが処理されている、というわけではありません。

「潜在意識」はむしろ、

自分では意識できていないのに、自分へ影響しているものを考えるために使われてきた、大きな言葉

として捉えると分かりやすいでしょう。

顕在意識と潜在意識は「氷山」で表現される

潜在意識を説明するとき、よく使われるのが「氷山」のたとえです。

海の上に見えている部分が、自分で意識できているもの。

水面下に隠れている部分が、自分では意識できていないもの。

この図が伝えようとしているのは、

自分が自覚している「自分」は、自分のすべてではない。

ということです。

これは、潜在意識という考え方を直感的に理解するには、とても分かりやすいたとえです。

ただし、氷山のように人間の意識が二つの領域へ、きれいに分かれているわけではありません。

また、

「顕在意識は10%、潜在意識は90%」
「人間の行動の95%は潜在意識によって決まる」

といった数字を目にすることもありますが、人間の意識をそのような割合で明確に分割できるわけでもありません。

氷山はあくまで、複雑なものを理解しやすくするための「たとえ」です。

大切なのは、その割合ではなく、

僕たちは、自分で意識できていることだけを使って、毎日のすべてを考え、感じ、選んでいるわけではない。

ということです。

では、その「意識できていないもの」とは、具体的に何なのでしょうか。


僕たちは「意識できないもの」にも影響されている

たとえば、毎朝歯を磨くとき。

一本一本、

「次は右上を磨こう」
「その次は左下を磨こう」

などと考えてはいないでしょう。

慣れた行動の多くは、いちいち意識的に判断しなくてもできるようになります。

記憶についても、似たことがあります。

心理学では、過去の経験を意識的に思い出していなくても、その経験が現在の反応や行動に影響することがあります。

こうした記憶は「潜在記憶(implicit memory)」などとして研究されています。

つまり、

自分で意識していないものが、現在の自分へ影響する。

ということ自体は、決して不思議な話ではありません。

ただ、それらすべてを「潜在意識」という一つの仕組みが動かしている、と考える必要もありません。

習慣。
記憶。
感情。
注意。
学習。
思い込み。
無意識に行われる情報処理。

僕たちが普段「潜在意識」と呼んでいるものの中には、実際にはさまざまな働きが含まれています。

だから、

「潜在意識なんて存在しない」

と切り捨てる必要もなければ、

「すべて潜在意識がやっている」

と一つの言葉ですべてを説明する必要もありません。

「潜在意識」という言葉を入口にして、

自分では気づいていない何が、今の自分に影響しているのだろう。

と見ていく。

僕は今、そのくらいの使い方がちょうどいいと思っています。


「潜在意識が変われば現実が変わる」とは?

それでは、よく言われる

「潜在意識が変われば現実が変わる」

とは、どういうことでしょうか。

これを現実的に考えると、ある程度シンプルに説明できます。

たとえば、

「どうせ自分にはできない」

と思っている人がいるとします。

本人は、

「成功したい」

と意識的には考えているかもしれません。

しかし実際には、

失敗しそうな挑戦を避ける。
自分から声をかけない。
せっかくの機会が来ても断る。
失敗した出来事ばかりを覚えている。

そんな選択を繰り返しているかもしれません。

逆に、

「もしかしたら自分にもできるかもしれない」

と考えるようになれば、

調べる。
相談する。
申し込む。
試してみる。
失敗しても、もう一度やってみる。

という選択が増える可能性があります。

考え方が変わる。
見えるものが変わる。
選択が変わる。
行動が変わる。
その積み重ねによって、結果として現実も変わる。

この一連の変化を、

「潜在意識が変わったことで、現実が変わった」

と表現することはできます。

非常に分かりやすい翻訳です。

そして僕自身、この考え方には今でも価値があると思っています。


「努力すれば変われる」から、その奥を見るようになった

以前は、

「もっと努力しなければ」
「意志を強く持たなければ」
「行動しなければ」

と、自分の意識だけを変えようとする考え方が強くありました。

もちろん、努力も意志も行動も大切です。

でも、人間はそれほど単純ではありません。

「やろう」と思っているのにできない。
「やめよう」と決めたのに繰り返す。
「気にしない」と思っているのに傷つく。

そんな自分に対して、

「意志が弱いからだ」

だけで終わらせるのではなく、

自分では気づいていない何かが、この反応に関わっているのではないか。

と考える。

これは、人間が自分自身を見る方法として、一つの進歩だったのではないかと僕は思います。

自分を責めるだけではなく、

「なぜ、自分はこう反応するのだろう」

と、自分の内側を見るようになるからです。


「意識にならないもの」には、さまざまな名前がつけられてきた

ここから少し、視野を広げてみます。

人間は昔から、

「自分が意識できている自分だけでは、自分のすべてを説明できない」

と感じてきたのかもしれません。

現代の心理学では、「無意識」という言葉があります。

記憶や学習、習慣、自動的な情報処理など、自覚していなくても現在の判断や行動へ影響する働きについても、それぞれ研究されています。

一方、日常や自己啓発の世界では、そうした「自分では気づいていない自分」をまとめて、

「潜在意識」

と表現することがあります。

さらに、別の文脈へ目を向ければ、「インナーチャイルド」という言葉で過去の経験と現在の感情とのつながりを理解しようとする考え方もあります。

宗教やスピリチュアルな世界では、「カルマ」や「過去生」といった世界観によって、現在の自分だけでは説明しきれないものを理解しようとしてきた人たちもいます。

もちろん、これらは同じものではありません。

科学的に研究されている概念と、心理的な理解のために使われる表現、宗教やスピリチュアルな世界観を、同じ根拠を持つものとして並べることはできません。

それでも、少し離れて眺めてみると、興味深いことがあります。

時代や文化、立場が違っても、人は繰り返し、

「自分には、自分でも見えていない部分があるのではないか」

と考えてきた。

そして、その見えないものを理解するために、さまざまな言葉や物語を与えてきた。

「潜在意識」もまた、そうして人間が自分自身を理解するために使ってきた言葉の一つとして見ることができるのかもしれません。


一冊の本を閉じた。

紙の擦れる音が、書架の間へ消えていく。

顔を上げる。

高い書架が、薄暗い空間の奥まで続いている。

少し離れたところに、セフィラがいた。

棚から抜き取った本を、一冊ずつ確かめている。

「セフィラ」

「なんじゃ」

「僕は『潜在意識を書き換える』っていう本を、昔からたくさん読んできたんだよ」

「知っておる」

「知ってるの?」

セフィラは本から目を離さない。

「ここへ来てまで読んでおるではないか」

見ると、僕がさっき閉じた本の表紙にも、その言葉がある。

「……まあ、そうだけど」

セフィラは小さく息をついて、手元の本を棚へ戻した。

「昔は、努力できない自分を責めてたんだ。でも潜在意識っていう考え方を知って、ポジティブ思考とか根性だけでは変わらない自分もいるんだって考えられるようになった」

「ふむ」

「だから、潜在意識っていう考え方を知ったこと自体は、よかったと思ってる」

「ならば、よかったではないか」

あまりにもあっさり返されて、思わず彼女を見る。

「否定しないんだ」

「なぜ、わらわが否定せねばならぬ」

「いや……なんとなく」

セフィラは、次の本を手に取った。

「名があることで、初めて見つめられるものもある」

その声は、先ほどより少し静かだった。

「それまで『自分は駄目だ』で終わっていたものを、『なぜ、こうなるのか』と考えられるようになったのであろう?」

「うん。それは大きかったと思う」

「ならば、その名はおぬしの役に立ったのじゃろう」

僕は少しだけ安心した。

「やっぱり、潜在意識ってすごい発見なんだね」

「さてな」

「そこは違うの?」

セフィラは手にしていた本を閉じた。

「名をつけねば、人は見つめることすら難しいからのう」

少し間を置く。

「じゃが――」

こちらを見る。

「名を知ることと、それを知ることは同じか?」

僕は答えられなかった。


「潜在意識」という言葉は、一つの翻訳なのかもしれない

名前をつけることには意味があります。

言葉がなければ、考えることさえ難しいからです。

「なんとなく、いつも同じことを繰り返してしまう」

という感覚に、

「習慣」「思い込み」「無意識」「潜在意識」といった言葉が与えられる。

すると、それまで漠然としていたものを観察できるようになります。

だから「潜在意識」という言葉を使うこと自体に問題があるわけではありません。

ただし。

その言葉が、現象そのものだと思い始めたときには注意が必要です。

地図は、土地そのものではありません。

同じように、

「潜在意識」という言葉も、僕たちが意識できない自分を理解するための、一つの翻訳なのかもしれません。

翻訳は便利です。

でも、翻訳された文章だけを読んで、

原文についてすべて分かったと思うことはできません。


「潜在意識を書き換える」とは、何を変えることなのか

ここまで考えると、

「潜在意識を書き換える」

という言葉も、少し違って見えてきます。

この言葉は、とても分かりやすい表現です。

自分でも気づいていなかった思い込みや反応が変わり、それまでとは違う選択ができるようになった。

そんな経験を、

「潜在意識が書き換わった」

と表現すれば、確かに理解しやすい。

僕自身も、そう説明してきました。

ただ、潜在意識という場所が脳のどこかにあり、そこへ書き込まれたプログラムを書き換えるように人間が変化するわけではありません。

実際に起きていることを見てみれば、

長年続けてきた習慣を変える。

自分について抱いていた考え方を見直す。

過去の出来事について、別の捉え方ができるようになる。

新しい行動を繰り返す。

今まで避けていたことを、少しだけ試してみる。

そうした変化が積み重なることで、それまで意識せず繰り返していた選択や反応が変わることがあります。

それを、

「潜在意識が書き換わった」

と呼ぶこともできるでしょう。

大切なのは、その言葉が正しいか間違っているかを決めることより、

その言葉を使ったことで、自分の何が見えるようになり、実際に何が変わったのか。

そこまで見ていくことなのだと思います。


夢ノートは「潜在意識へ願いを刷り込む道具」なのか?

では、夢ノートはどうでしょう。

僕は長いあいだ、夢を書いてきました。

そして以前は、

「夢を書くことで潜在意識へ願望を刷り込む」

という説明もしていました。

今は、それだけが夢ノートの意味だとは考えていません。

書いていると、ときどき自分でも驚くことがあります。

「自分は、こんなことを望んでいたのか」
「これは本当に欲しいものなのだろうか」
「叶えたいと思っていたけれど、実は怖がっているのかもしれない」

そんなものが、言葉になって現れることがあります。

頭の中だけで考えていたときには見えなかったものが、紙の上へ出てくる。

もちろん、それをすぐに

「潜在意識から出てきた」

と断定する必要はありません。

でも、

意識していなかった自分に気づくために、書くことは使える。

これは、僕自身が長く書いてきて感じていることです。

夢ノートは、潜在意識へ命令を送る装置というより、

まだ言葉になっていない自分と対話する場所

なのかもしれません。


しばらくして。

僕はセフィラと書架の間を歩いていた。

「セフィラ」

「なんじゃ」

「結局さ」

彼女の歩みは止まらない。

「潜在意識について学んで、仕組みを知って、書き換える方法まで覚えたら……僕らは自分のことを分かったって言えるのかな」

「言えるのではないか?」

思わず足を止めた。

「え?」

セフィラも数歩先で立ち止まる。

「おぬしが、それで十分ならばな」

「……絶対、十分じゃないって思ってるでしょ」

「わらわは何も言っておらぬ」

そう言いながら、少しだけ口元が緩んでいる。

セフィラは近くの書架へ手を伸ばした。

一冊。

その隣から、もう一冊。

さらに、少し離れた場所から一冊。

三冊の本を抱えて戻ってくる。

「何の本?」

「人が、自らの内にある見えぬものについて書いたものじゃ」

一冊目を開く。

そこには、僕の知っている言葉があった。

無意識。

二冊目には、別の言葉。

記憶。習慣。感情。

三冊目は、僕には読めない文字で書かれていた。

「同じことが書いてあるの?」

「同じではない」

セフィラはすぐに答えた。

「なら、全部違う?」

「それも違う」

「……どっちなの」

「人は、自らに見えぬものを、見える形にしようとしてきた」

セフィラは三冊の本を重ねた。

「時代によって。立場によって。知っていることによって。その形は変わる」

僕は重ねられた本を見る。

「じゃあ、潜在意識もその一つ?」

「そう読むことはできよう」

「でも、それが全部じゃない」

「一つの言葉で人のすべてが分かるなら、この書架も随分と空いておったじゃろうな」

見上げる。

遥か上まで、本が並んでいる。

三冊の本を抱え直して歩き始めた。

僕も、その後を追う。

読んだ本は、ずいぶん増えた。
知った言葉も増えた。
潜在意識。無意識。習慣。記憶。

そのほかにも、まだたくさんある。

言葉を知るたびに、自分について少し分かったような気がした。

たぶん、それは間違いではない。言葉があったから、見えるようになった自分もいる。

でも。

分かったことが増えることと、分からないものがなくなることは、同じではない。

そして、知っている言葉の数と、自分をうまく扱えることも、きっと同じではない。

そんなことを考えながら、僕は彼女の後を歩いていた。


潜在意識を「答え」にしない

潜在意識について学ぶことには意味があります。

自分を意志の強さだけで評価するのではなく、

「なぜ、自分はこう反応するのだろう」

と考えられるようになる。

それだけでも、自分を見る角度は変わります。

潜在意識について書かれた本を読む。
自分の思い込みを振り返る。
習慣を見直す。
アファメーションを試してみる。
瞑想する。
夢を書く。

そうした方法も、自分を知るきっかけとして使えばいいと思います。

ただ、

「これは潜在意識のせいだ」

と名前をつけたところで、考えることを終わらせない。

「この方法で潜在意識を書き換えられる」

という言葉だけを信じて、自分を見ることをやめない。

人間は、おそらく自分自身について、まだ分からないことをたくさん抱えています。

だからこそ、

分からないものを、すぐに消さなくてもいい。


その夜。

禁書図書館から現実に戻った僕は、机の上のノートを開いた。

何度も書いてきた場所。

叶った夢もある。
叶わなかった夢もある。
今では、どうして書いたのかさえ分からない言葉も残っている。

ページをめくる手が止まった。

昔の僕が書いた一行。

しばらく、それを眺める。

あのときの僕は、何を考えていたのだろう。

今なら潜在意識という言葉で説明できることもある。
それでも、分からないこともある。

僕は新しいページを開いた。

そして、ペンを取る。

まだ、自分でも知らない自分がいる。

その声が、いつか言葉になるかもしれない。

ならないものも、あるのかもしれない。

僕は、白いページを見つめた。

分からないままでも、書くことはできる。

今日も、書いてみる。

禁書図書館ノ記録

この記事に登場した少女・セフィラと、「しい」が訪れる禁書図書館。

二人の物語は、Kindleシリーズ『禁書図書館ノ記録』で描かれています。

禁書図書館とは何なのか。

なぜ、しいはそこへ辿り着いたのか。

そして、なぜセフィラは答えを教えようとしないのか。

この記事で描いた出来事は、本編終了後の「続き」ではありません。

全5巻の物語の中に確かに存在していたけれど、本には記されなかった時間。

書かれなかった、もうひとつの記録です。

 

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この記事を書いた人

夢ノートを書き続けて15年以上。書くことと未来の関係を、実践しながら探究しています。「未来を記述し、未来を読解する」をテーマに、SeaCretで日々の実践や気づき、物語を発信しています。

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