「夢を書いたら、そのあとは?」

うみは、開いたノートをじっと見つめていた。
真っ白だったページには、昨日書いたばかりの夢がいくつか並んでいる。
行ってみたい場所。
やってみたいこと。
いつか叶えたいこと。
しばらく眺めていたうみが、ふと顔を上げた。
「しいさん」
「ん?」
「夢って、書いたあとはどうするんですか?」
「どうするって?」
「毎日眺めたり……『叶いました』って書いたり?」
しいは少し考えてから、答えた。
「僕は、あまりそういう使い方をしてこなかったんだよね」
うみが不思議そうに顔を上げる。
「じゃあ……何のために書くんですか?」
僕は、夢ノートを書き始めて15年以上になります。
けれど、
「夢を書けば、それだけで叶う」
と思って続けてきたわけではありません。
僕がやってきたことは、もっと地味です。
・夢を書く。
・そのためにできることを考える。
・行動する。
・できたことを消す。
・新しく思いついたことを書き足す。
・そして、また動く。
振り返ってみると、僕にとって夢ノートは「願いを叶えてくれるノート」というより、
自分が進みたい未来を書き、その未来へ近づくためのノート
だったのだと思います。
この記事では、僕が実際に続けてきた夢ノートの書き方を、3つのステップに分けて紹介します。
難しいルールはありません。
ノートとペンがあれば、今日から始められます。
夢ノートの書き方は「書いて終わり」ではない
夢ノートというと、
「願いを100個書く」「叶った形で書く」「毎日見返す」
といった方法を目にすることがあります。
もちろん、それらも一つの方法です。
ただ、僕自身が長く続ける中で大切にしてきたのは、書き方のルールそのものではありません。
大事なのは、
書いた夢と、現実の行動をつなぐこと。
僕の夢ノートの使い方をシンプルにすると、こうなります。
そして、新しく思いついたことを書き足す。
できたことには印をつける。
違うと思ったら書き換える。
また次の行動を考える。
この繰り返しです。

夢ノートの書き方①|望む未来を書く
最初にすることは、とてもシンプルです。
「こうなったらいいな」と思う未来を書きます。
たとえば、
・北海道へ家族旅行に行く
・自分の本を出版する
・100万円貯める
・朝の時間をゆっくり過ごせる生活にする
・行ってみたかったお店へ行く
大きな夢でなくても構いません。
「こんな仕事をしたい」「これが欲しい」「ここへ行ってみたい」「こんな自分になりたい」
そう思ったものを、まず言葉にします。
最初から「正しい書き方」を気にしなくていい
夢ノートについて調べると、
「現在形で書きましょう」「完了形で書きましょう」「期限を書きましょう」「『~したい』と書いてはいけません」
など、さまざまな書き方が出てきます。
僕は、最初からそこまで気にしなくていいと思っています。
なぜなら、
正しく書こうとするあまり、自分の夢を書けなくなる方がもったいないからです。
「北海道へ行きたい」でもいい。
「北海道へ行った」でもいい。
「2027年、家族で北海道へ行く」でもいい。
まず必要なのは、文章としての正しさではありません。
自分がどんな未来へ行きたいのかを、紙の上に出すこと。
書き方は、そのあと整えていけばいいのです。
夢が思いつかなくても大丈夫
とはいえ、
「夢を書いてください」
と言われて、何十個もすぐに書ける人ばかりではありません。
むしろ、10個くらい書いたところで、
「……もうない」
となることもあります。
でも、そこからが面白いところです。
仕事、お金、家族、健康、欲しいもの、行きたい場所、経験してみたいこと。
視点を変えると、それまで意識していなかった未来が少しずつ出てきます。
夢をたくさん見つける方法については、別の記事で詳しく紹介します。
→ 夢リスト100の書き方|思いつかない夢まで見つける方法(執筆中)
夢ノートの書き方②|夢を「行動」に変える
夢を書いた。
ここで終わらないのが、僕の夢ノートです。
次に書くのは、
「その未来へ近づくために、何ができるだろう?」
ということです。
たとえば、ノートに、
家族で北海道旅行へ行く。
と書いたとします。
それだけでは、まだ「夢」です。
そこで、その下にできることを書いてみます。
□ 行きたい場所を調べる
□ 家族に相談する
□ 行けそうな時期を確認する
□ 旅費を調べる
□ 毎月、旅行用のお金を残す
すると、
「いつか北海道へ行きたい」
というぼんやりした未来が、
自分が動かせるもの
に変わってきます。
大きな夢ほど、小さく分ける
夢が大きいほど、この作業は大切になります。
たとえば、
本を出版する。
これは立派な夢ですが、このままでは今日何をすればいいのか分かりません。
そこで分けます。
□ テーマを決める。
□ 読者を決める。
□ 伝えたいことを書き出す。
□ 目次を作る。
□ 第1章を書く。
一つずつ小さくすると、
「本を出版する」という遠くにあった未来が、
「今日は目次を考える」
という、今の自分ができる行動になります。
僕自身、夢ノートではこの作業を何度もやってきました。
夢そのものより、
「じゃあ、そのために何をする?」
と考えている時間の方が長かったかもしれません。

夢が「できそうなこと」に変わる瞬間
うみは、自分のノートを見ながら考えていた。
「しいさん」
「うん?」
「なんだか、ちょっと夢じゃなくなってきました」
「どういうこと?」
「最初は『いつかできたらいいな』だったんです。でも、こうやって書いていくと……」
うみは、夢の下に並んだ小さな行動を指でなぞった。
「これなら、一つくらい今日できます」
しいは笑った。
「それでいいんだよ」
夢が小さくなったわけではない。
ただ、遠くにあった未来と、今日がつながった。

夢ノートの書き方③|動いたら、またノートに戻る
行動を書いたら、実際に一つやってみます。
そして、夢ノートへ戻ります。
僕の場合、できたことには線を引いたり、チェックをつけたりします。
そして、「これも必要だ」と思ったら、新しい行動を書き足す。
実際に動いてみて、「これは違ったな」と思えば消す。
そうやってノートの中身を少しずつ変えていきます。
夢ノートは、最初に完成させるものではありません。
現実が動けば、ノートも変わる。
それでいいのです。
一度書いた夢に縛られなくていい
15年以上書いていると、昔の夢ノートを見返すことがあります。
すると、「これは叶ったな」というものもあります。
その一方で、「当時は、こんなことを望んでいたんだな」と思うものもあります。
叶わなかったのではなく、途中で欲しくなくなった未来もあるのです。
僕は、それも夢ノートの大切な役割だと思っています。
一度書いたからといって、その未来へ行かなければならないわけではありません。
人は変わります。
環境も変わります。
大切にしたいものも変わります。
だから、未来だって選び直していい。
夢ノートは、未来との契約書ではありません。
今の自分が、どの未来へ進みたいのかを確かめるためのノートでもあるのです。
夢ノートの書き方を具体例で見てみよう
まず、叶えたい夢を書きます。
家族で北海道旅行へ行く。
その下に、「そのためにできること」を書いていきます。
□ 行きたい場所を3つ調べる
☑ 家族に行きたい場所を聞く(8月○日完了)
□ 日程の候補を出す
□ 必要な予算を調べる
□ 旅行用のお金を準備する
できたことには、チェックを入れます。
そして、その下のスペースは自由です。
調べて分かったこと。
家族と話して気づいたこと。
ふと思いついたアイデア。
まだ「やること」にするほどではないメモ。
たとえば、
MEMO|アイデア・気づき
・富良野は夏がよさそう
・娘は小樽に行きたいらしい
・せっかくなら○○にも寄れる?
・夏休みより少し時期をずらした方がいいかも
・旅行用に毎月○万円ずつ分けておこう
こんなふうに、思いついたことを自由に書いていきます。
きれいに整理する必要もありません。
そして、メモの中から、
「これは実際にやってみよう」
と思うものが出てきたら、上の行動リストへ書き足します。
最初は、
「北海道へ行きたい」
という一行だったものが、
調べる。
話す。
考える。
気づく。
書き足す。
そして、また動く。
その繰り返しで、少しずつ現実の予定へ近づいていく。
僕にとって夢ノートは、最初から完成した計画を書く場所ではありません。
夢について考え、動き、そこで生まれたことを書きながら、少しずつ育てていく場所です。
これが、僕が実際にやっている夢ノートの使い方です。

コラム|15年以上、夢ノートを書いて分かったこと
ここまで読むと、
「じゃあ、夢ノートを書けば夢が叶うんですね」
と思うかもしれません。
でも、僕はそこまで単純には考えていません。
僕がノートに書いたことが、すべて叶ったわけではありません。
叶わなかったものもあります。
途中でどうでもよくなったものもあります。
自分で行動して実現したものもあります。
そして中には、
「どうしてこんな形でつながったんだろう」
と、今でも不思議に感じるものもあります。
だから僕は、
「夢を書けば叶う」
とは言い切れません。
ただ、15年以上続けてきて、一つだけ感じていることがあります。
夢を書いたから、考えた。
考えたから、調べた。
調べたから、動いた。
動いたから、人や情報と出会った。
そして、その出会いから、また次の未来を考えた。
そうやって振り返ってみると、
書かなかった自分とは、少し違う場所まで来ている。
僕にとって夢ノートの面白さは、そこにあります。
夢ノートを書くときによくある3つの疑問
毎日書かないとダメ?
毎日書けるなら、それでも構いません。
でも、「毎日書かなければ効果がない」と考える必要はないと思います。
僕が大切だと思うのは、何度でもノートへ戻ってくることです。
夢を思いついたとき。
何か行動したとき。
迷ったとき。
昔の夢を見返したくなったとき。
夢ノートは、毎日の義務にするより、未来を考える場所として長く付き合った方が面白いものになります。
「叶いました」と完了形で書いた方がいい?
完了形で書く方法もあります。
それによって未来を具体的にイメージしやすいなら、使ってみてもいいでしょう。
ただし、絶対的なルールではありません。
「○○したい」
から始めても大丈夫です。
大切なのは、文末ではなく、自分がその未来を望んでいると分かること。
そして、その先へ一歩動いてみることです。
書いた夢が変わってもいい?
もちろんです。むしろ、変わっていい。
書いて、動いて、経験したからこそ、
「自分が本当に欲しかったのは、こっちだった」
と気づくこともあります。
それも、夢ノートを書いたからこそ得られた発見です。
まず、一つだけ未来を書いてみよう
うみは、もう一度ノートを開いた。
最初に書いた夢は、そのまま残っている。
でも、その下には先ほどまでなかった言葉が増えていた。
いくつかの小さな行動。その中から一つを選び、うみはペンを走らせた。
————————————
今日やること:まず○○を調べる。
————————————
「……これなら、今日できます」
「うん」
しいはノートを見ながら答えた。
「最初は、そのくらいでいいんだよ」
未来は、ノートに書いた瞬間、魔法のように変わるわけではありません。
でも、書くことで、
自分がどこへ行きたいのかが見えてくる。
行きたい場所が見えれば、
今日、どちらへ一歩進めばいいのかを選べる。
そして一歩進んだら、またノートを開く。
未来を書く。
動く。
また書く。
僕は、そんな「書くこと」と未来の関係を、
夢ノ記述術
として探究しています。
夢がまだ思いつかない方へ
「書き方は分かった。でも、そもそも夢が思いつかない」
そんな方もいると思います。
次の記事では、夢を100個書き出しながら、自分でも気づいていなかった未来の選択肢を見つけていく方法を紹介します。
→ 夢リスト100の書き方|思いつかない夢まで見つける7つのヒント(執筆中)
また、「そもそも夢ノートって何?」というところから知りたい方はこちらへ。
→ 夢ノートとは?|15年以上書き続けて分かった「未来を記述する」ということ(執筆中)
一人で書き始めるのが難しい方へ|SeaCret-Prologe
夢は、頭の中にあるうちは、まだ曖昧です。
でも、一つ言葉にすると、
「じゃあ、どうしよう?」
という次の問いが生まれます。
SeaCret-Prologeでは、実際にノートを開きながら、自分がどんな未来へ進みたいのかを少しずつ言葉にしていきます。
難しい知識は必要ありません。
必要なのは、ノートとペンだけです。


