大谷翔平選手が高校時代に書いた「夢ノート」を知っていますか?
大谷選手の夢ノートとして紹介されることがあるのは、縦9マス、横9マスの合計81マスを使った目標達成シートです。
一般に「マンダラチャート」として知られています。
その中心に書かれていたのは、
「ドラ1 8球団」
という目標。
そして、その周囲には、目標を実現するために必要なことが細かく書き込まれていました。
このシートを見て、
「自分もマンダラチャートを書いてみたい」
と思う人もいるかもしれません。
でも、僕が興味深いと思うのは、81マスという形式そのものではありません。
一つの目標を、必要な戦略へ。さらに、具体的な行動へと分解していること。
実は、この考え方は、僕が15年以上続けてきた夢ノートにも通じています。
今回は、大谷選手のマンダラチャートを読み解きながら、夢ノートをより効果的に書くためのヒントを考えてみたいと思います。
STORY|夢ノートとは違うもの?

午後の執筆空間。
うみは、机に広げられた一枚の紙を眺めていた。
縦に九つ。横に九つ。
小さなマスの中に、びっしりと言葉が並んでいる。
「これ、大谷翔平選手が高校生のときに書いたものなんですか?」
「そう。正確には、当時の目標達成シートを参考に再現したものだけどね」
うみは、中央のマスを指さした。
「ドラ1、8球団……」
そして、その周りに目を移す。
「体づくり、コントロール、スピード、メンタル……。野球に必要なことが書いてあるんですね」
「うん」
「でも、こっちには『運』とか『人間性』まであります」
しいは頷いた。
「そこも面白いところだよね」
うみは、しばらく紙を眺めていた。
「なんだか、すごいですね。こんなに細かく考えていたなんて」
それから、隣に置いてあった自分の夢ノートを見た。
「でも……これって、夢ノートとは違うものですよね?」
しいは、ノートと一枚のシートを見比べた。
「形は違うね。でも、考え方には共通するところがあると思うよ」
「共通するところ?」
「まずは、この81マスがどうつながっているか、見てみようか」
大谷翔平選手のマンダラチャートとは?
大谷翔平選手は、花巻東高校1年生のときに、目標を具体化するためのシートを作成しました。
一般に「マンダラチャート」や「目標達成シート」として知られているものです。
縦9マス、横9マスの合計81マスを使い、一つの大きな目標を、より具体的な要素へと分解していきます。
中心に書かれた「ドラ1 8球団」
大谷選手が中央に書いた目標は、
「ドラ1 8球団」
プロ野球のドラフト会議で、8球団から1位指名を受けるという目標です。
その周囲には、目標を実現するために必要だと考えた八つの要素が書かれています。

大谷翔平選手の高校時代の目標達成シートを参考に、SeaCretが再構成した図解です。原資料そのものではありません。
目標を支える八つの要素
中央の目標を囲んでいるのは、次の八つです。
| 要素 | 目指すこと |
|---|---|
| 体づくり | 野球で力を発揮できる身体を作る |
| コントロール | 狙ったところに投げる技術を高める |
| キレ | 投球の質を高める |
| スピード160km/h | 球速を高める |
| 変化球 | 変化球の技術を磨く |
| 運 | 日常の行動や姿勢を整える |
| 人間性 | 感謝や思いやりなどを大切にする |
| メンタル | 精神面を強くする |
ここで注目したいのは、八つすべてが野球の技術ではないことです。
体づくりや球速、コントロールは、競技に直接関わる要素です。
一方、「運」「人間性」「メンタル」は、技術とは少し異なります。
大谷選手のシートには、何ができるようになるかだけでなく、どのような自分であるかという視点も含まれているように見えます。
81マスに隠された「目標→戦略→行動」の構造

僕が、このシートから最も学べると感じるのは、目標を具体的な行動へと分解する構造です。
ここでは、夢ノートに応用しやすいように、SeaCretの視点から三段階に整理してみます。
目標 → 戦略 → 行動
この三つです。
① 目標|何を実現したいのか?
最初に、一つの大きな目標を決めます。
大谷選手の場合は「ドラ1 8球団」です。
夢ノートでも、まずは自分が実現したい未来を書きます。
たとえば、
「いつか、自分の本を出版したい」
という夢があったとしましょう。
この段階では、まだ具体的な方法まで決まっていなくても構いません。
まずは、目指す未来を言葉にすることが出発点です。
② 戦略|その目標を実現するために何が必要か?
次に、目標を実現するために必要な要素を考えます。
大谷選手は、ここに八つの要素を置きました。
先ほどの「本を出版したい」という夢なら、たとえば、
- 文章力
- 企画力
- 専門知識
- 執筆時間
- 読者とのつながり
- 発信力
- 出版に関する知識
- 継続する習慣
といった要素が考えられます。
これらは、「本を出版する」という目標に向かうために必要なものです。
この記事では、こうした要素をまとめて「戦略」と呼ぶことにします。
もちろん、正解が八つあるわけではありません。
自分にとって何が必要なのかを考えることに意味があります。
③ 行動|その戦略を実現するために何をするか?
最後に、それぞれの戦略を具体的な行動へと分解します。
たとえば、「文章力」を高めたいなら、
- 毎日15分、文章を書く
- 好きな本の文章を分析する
- 書いた文章を読み直す
- 読者の反応を確認する
- 一つのテーマについて深く調べる
といった行動が考えられます。
大谷選手のマンダラチャートでは、八つの要素それぞれについて、さらに八つの項目を考えています。
つまり、
一つの目標 → 八つの戦略 → それぞれ八つの具体的な項目
という構造です。
八つの戦略に八つずつの項目があるので、具体的な項目は合計64個になります。
なお、実際のシートでは、中央の目標を囲む八つの要素が、周囲の八つのブロックの中心にも繰り返し配置されています。
そのため、
中央の目標が1マス。
中央を囲む八つの要素が8マス。
周囲のブロックの中心に再び置かれる要素が8マス。
そして、具体的な項目が64マス。
合計81マスという仕組みです。
ただし、64の項目がすべて厳密な意味での「行動」というわけではありません。
能力や状態、心構えを表す言葉も含まれています。
大切なのは、81マスを埋めることではなく、大きな目標と日々の行動がつながっていることです。
なぜ「運」や「人間性」まで書かれているのか?
大谷選手のマンダラチャートで、特に興味深いのが「運」という項目です。
「運がよくなること」は、自分の意思だけで決められるものではありません。
ところが、その周囲には、
「あいさつ」「ゴミ拾い」「部屋そうじ」「道具を大切に使う」
といった言葉が並んでいます。
運そのものはコントロールできなくても、自分の行動は選べる。
このように読み解くことができます。
また、「人間性」には感謝や思いやり、「メンタル」には一喜一憂しないことや、雰囲気に流されないことなどが書かれています。
これらは、目標を達成するために何かを増やすだけではなく、日頃の姿勢や習慣を整えることにも目を向けています。
夢を実現するために必要なのは、技術だけではない
ここで少し、自分の夢に置き換えて考えてみます。
たとえば、「本を出版する」という目標があるとします。
文章力や企画力は、確かに必要でしょう。
でも、それだけで十分でしょうか。
書き続ける習慣。
読んでくれる人への感謝。
批判や失敗に振り回されない心。
新しいことを学び続ける姿勢。
そうしたものも、長く活動を続けるためには大切かもしれません。
大谷選手のシートが教えてくれるのは、単なる作業の細分化だけではないと、僕は考えています。
目標を実現するために、どんな能力を身につけ、どんな行動を選び、どんな自分でありたいのか。
その全体を考えるための道具として、マンダラチャートを見ることができるのです。
マンダラチャートと夢ノートは、何が違う?

ここまで読んで、
「それなら、夢ノートではなくマンダラチャートを書いた方がいいのでは?」
と思った方もいるかもしれません。
でも、僕はそうは考えていません。
どちらにも、それぞれの強みがあるからです。
マンダラチャートの強みは、全体を俯瞰できること
81マスが一枚のシートに収まっていると、目標と戦略、具体的な行動のつながりを一目で確認できます。
どこに力を入れているのか。
まだ考えられていない要素はないか。
全体のバランスはどうか。
そうしたことを見渡しやすいのが、マンダラチャートの大きな強みです。
一方で、弱点もあります。
一つひとつのマスが小さいことです。
書けるのは、基本的に短い言葉や簡潔な文章に限られます。
「文章力」と書くことはできても、なぜ文章力が必要なのか、どんな文章を書きたいのか、どう練習するのかを詳しく書くには、スペースが足りません。
夢ノートの強みは、いくらでも深掘りできること
夢ノートには、決められたマス目がありません。
一つの夢について、何ページ使っても構いません。
目標を書いた後に、必要な戦略を考える。
戦略ごとにページを作って、具体的な行動を書き出す。
行動してみて気づいたことを追記する。
計画が変われば、書き直す。
そのときの気持ちや、新しく浮かんだアイデアを書き加えることもできます。
僕自身、15年以上夢ノートを書き続けていますが、最初からすべてを整理して書くわけではありません。
思いついたことを自由に書き出し、必要に応じて、戦略や行動へと整理していきます。
夢ノートは、未来について自由に考え続けられる場所でもあるのです。
二つの強みを組み合わせる
マンダラチャートは、全体を見渡すのが得意。
夢ノートは、一つひとつを深く考えるのが得意。
だからこそ、マンダラチャートの構造を、夢ノートに取り入れることができます。
81マスの形式を真似する必要はありません。
大切なのは、「目標→戦略→行動」という考え方を使うことです。
大谷翔平選手の考え方を夢ノートに取り入れる方法
ここからは、普段の夢ノートで実践する方法を紹介します。
特別なテンプレートは必要ありません。
いつものノートを開いて、次の三つを考えてみてください。
STEP 1|実現したい夢を一つ書く
まずは、夢や目標を一つ選びます。
「本を出版したい」
「海外で暮らしてみたい」
「自分の好きな仕事をしたい」
どんな夢でも構いません。
できれば、実現したときの様子も書いてみましょう。
なぜ、その夢を叶えたいのか。
どんな暮らしをしているのか。
どんな気持ちで毎日を過ごしているのか。
マンダラチャートでは書ききれないことも、夢ノートなら自由に書くことができます。
STEP 2|夢を実現するための戦略を八つ考える
次に、その夢を実現するために必要なことを考えます。
大谷選手のように、八つの要素を考えてみるのもよいでしょう。
たとえば「海外で暮らしたい」という夢なら、
語学力、仕事、収入、健康、人間関係、生活環境、情報収集、心の準備。
このように、いくつかの方向から考えてみます。
ここで大切なのは、すぐに思いつくことだけで終わらないことです。
「ほかにも必要なことはないかな?」
と考えることで、それまで意識していなかった要素が見つかるかもしれません。
もちろん、最初から八つすべてを埋めなくても大丈夫です。
まずは三つでも、五つでも構いません。
STEP 3|それぞれの戦略に必要な行動を考える
最後に、一つの戦略を選び、具体的な行動を書き出します。
たとえば、「語学力」を高めるためなら、
- 英語の本を読む
- 毎日10分、英語を聞く
- 英語で日記を書いてみる
- オンライン英会話を試す
- 海外の動画を見る
といった行動が考えられます。
さらに、大谷選手のシートのように、一つの戦略につき八つの行動を考えてみてもよいでしょう。
夢ノートなら、行動の内容を詳しく書いたり、実行する日を決めたり、後から振り返ったりすることもできます。
最後に、今日できる行動を一つ選ぶ
ここが、僕の夢ノートで特に大切にしている部分です。
戦略や行動をたくさん書き出しても、すべてを一度に実行する必要はありません。
むしろ、書き出した中から、
「今日、何をする?」
と考えてみます。
英語の勉強を始めるなら、今日は10分だけ英語を聞く。
本を書きたいなら、今日は見出しを一つ考える。
小さな行動でも構いません。
夢ノートは、夢を書いて終わるためのものではありません。
書いた未来を、今日の行動につなげるためのものです。
【無料PDF】81マスから夢ノートへ。マンダラチャート実践シート

大谷翔平選手のマンダラチャートを見て、「自分でも書いてみたい」と思った方へ。
A4サイズで印刷して使える、無料のワークシートを用意しました。
今回のPDFは、全2ページです。
1ページ目|夢を行動に変えるマンダラチャート
81マスの空欄シートです。中央に夢や目標を書き、その実現に必要なことや具体的な行動を整理できます。
2ページ目|81マスから、今日の一歩へ。
マンダラチャートで書き出したことから一つを選び、「選ぶ → 深める → 動く」の3ステップで、夢ノートと今日の行動につなげていきます。
81マスすべてを埋める必要はありません。
まずは書いてみる。そして、今の自分にできそうなことを一つ見つけてみてください。
※A4横向き・全2ページ。印刷して手書きで使えます。
夢を小さくするのではなく、行動を小さくする。
STORY|今日の一つ
うみは、もう一度、大谷選手のマンダラチャートを見た。
「最初は、81マスも書くなんて大変そうだと思いました」
「うん」
「でも、81個のことを全部やるっていう意味じゃないんですね」
しいは頷いた。
「そうだね。大きな目標を、いろんな方向から考えるためのものなんだと思う」
「いろんな方向から……」
うみは、自分の夢ノートを開いた。
そこには、以前書いた夢が並んでいる。
やってみたいこと。
行ってみたい場所。
いつか、こんなふうに暮らせたらいいなと思う未来。
うみは、その中の一つを選んだ。
そして、少し余白を空けて書き足す。
〈そのために、何が必要?〉
しばらく考えてから、思いついたことをいくつか並べていく。
書きながら、ふと顔を上げた。
「しいさん。これ、八つ書かなくてもいいですか?」
「もちろん。八つ考えてみるのもいいけど、数を埋めることが目的じゃないから」
「よかった」
うみは小さく笑った。
そして、書き出した言葉の一つに丸をつける。
その下に、もう一つの問いを書いた。
〈じゃあ、今日は何をする?〉
少し考える。
今度は、すぐにペンが動いた。
「……これなら、できそうです」
しいは、うみのノートに目を向けた。
「いいね」
うみは、隣に置かれた81マスのシートをもう一度見た。
さっきまでは、遠い世界の人が書いた、特別なものに見えていた。
でも、今は少し違う。
自分のノートにも、同じようにつながっていく道がある。
うみは、書き足した一行を眺めた。
そして、ノートを閉じずに、もう少しだけ考えてみることにした。
まとめ|夢を小さくするのではなく、行動を小さくする
大谷翔平選手のマンダラチャートには、夢や目標を考えるうえで参考になる構造があります。
それは、
目標 → 戦略 → 行動
という流れです。
大きな目標を決める。
そのために必要なことを考える。
そして、具体的な行動へと分解する。
マンダラチャートは、その全体像を81マスで俯瞰できます。
一方、夢ノートなら、それぞれの戦略や行動について、好きなだけ深く考えることができます。
どちらが優れているという話ではありません。
それぞれの強みを理解し、自分に合った形で取り入れればよいのです。
大谷選手のように81マスを書ききる必要もありません。
大切なのは、夢を描くだけで終わらせず、その夢につながる行動を見つけること。
夢を小さくするのではなく、行動を小さくする。
もし、夢ノートに書いたままになっている夢があるなら、一度、その下に二つの問いを書き足してみてください。
「その夢を実現するために、何が必要?」
「そのために、今日できることは?」
そこから、夢ノートの新しい使い方が始まるかもしれません。
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