「夢を100個書いてみよう」と言われても、意外と書けません。
10個くらいなら出てくる。
でも、20個、30個と進むにつれて、だんだんペンが止まってきます。
僕もこれまで夢リストを書いてきましたが、むしろ、そこからがこのワークの面白いところだと思っています。
100個書くことに、特別な魔法があるわけではありません。
大切なのは、いつも頭に浮かぶ夢を書き切ったあとも、
「他には?」
と自分に問い続けること。
すると、普段は「無理だろう」「現実的じゃない」と、自分で消していた未来まで少しずつ出てきます。
この記事では、夢リスト100の基本的な書き方と、夢が思いつかなくなったときに使える7つの視点を紹介します。
STORY|「あと90個?」

うみは、ノートに並んだ数字を見つめていた。
1、2、3……。
ペンが止まったのは、10個目だった。
「……もう、ない」
しいがノートを見る。
「10個も書けたね」
「でも、100個なんですよね?」
「うん」
「あと90個も?」
「あと90個」
うみは、そっとペンを置いた。
「無理です」
しいは少し笑った。
「たぶん、そこからが面白いんだよ」
「え?」
「最初の10個は、もう知っていた夢だから」
うみは、もう一度ノートを見る。
「じゃあ、残りの90個は?」
「まだ自分でも気づいていない未来を探すんだよ」
夢リスト100とは?
夢リスト100とは、
「やってみたいこと」「欲しいもの」「なりたい自分」など、自分の夢を100個書き出すワークです。
たとえば、
・行ってみたい場所
・挑戦してみたいこと
・欲しいもの
・なりたい自分
・こんなふうに暮らしたい
・大切な人とやってみたいこと
など。
内容に決まりはありません。
大きな夢だけでなく、
「この店に行ってみたい」
「新しい万年筆が欲しい」
「一日中、本を読んで過ごしたい」
そんな小さなものを書いてもいい。
100個すべてが「人生をかけて叶えたい夢」である必要もありません。
では、なぜ10個でも20個でもなく、わざわざ100個なのでしょうか。
僕は、ここに夢リスト100の面白さがあると思っています。
なぜ夢を「100個」書くのか?
最初の10個は、意外と簡単
まず夢を書いてみると、最初はいくつか出てきます。
旅行へ行きたい。
欲しいものがある。
仕事でやってみたいことがある。
家族とこんなことをしたい。
これらは普段から自分が意識している夢です。
だから比較的簡単に書けます。
問題は、そのあとです。
20個、30個と進むと、だんだん手が止まる
「他には?」
と考えても、なかなか出てこない。
ここで、
「自分には、そんなに夢がないのかも」
と思う人もいるかもしれません。
でも、そうとは限りません。
夢がないのではなく、
「いつも考えている夢」を使い切っただけ
なのかもしれません。
いつもの自分なら思いつく答えがなくなった。
だから、ここから少し違うところを探し始めます。
「他には?」が、いつもの思考の外側を探し始める
20個書いた。
もうない。
それでも、
「他には?」
と問いかける。
30個書いた。
また止まる。
今度は、
「できるかどうかを考えなかったら?」
と考えてみる。
さらに、
「お金や時間が十分にあったら?」
「誰にも笑われないとしたら?」
と問いを変えてみる。
すると、それまで自分で候補から外していた未来が出てくることがあります。
だから僕は、
100という数字そのものに、特別な力があるとは考えていません。
むしろ、
100という数字は、普段の思考の外側まで未来を書き出すための負荷。
そう考えると、夢リスト100というワークの意味が少し変わって見えてきます。

夢リスト100の基本的な書き方
特別な道具は必要ありません。
ノートとペンがあれば始められます。
まず、ノートに1から100まで番号を書いてみます。
そして、思いつく夢を順番に書いていきます。
最初は分類しなくて大丈夫です。
「北海道へ行く」
「本を出版する」
「新しいパソコンを買う」
「朝をゆっくり過ごせる生活にする」
「家族で○○へ行く」
思いついたものを、そのまま書いていきます。
そして、手が止まったら終わり――ではありません。
ここから、少しずつ視点を変えていきます。
また、100個を一日で完成させる必要もありません。
今日は20個。
数日後に思いついて、もう5個。
本を読んでいて思いついたら、一つ追加する。
誰かと話していて、
「それ、やってみたい」
と思ったら、また追加する。
そんなふうに少しずつ育ててもいい。
夢リストは、提出する宿題ではありません。
100という数字を目指しながら、自分の未来を探していくためのものです。
夢リスト100が思いつかないときの7つの視点
ここからは、
「もう思いつかない」
となったときに使える視点を紹介します。
これは順番に埋めるためのルールではありません。
夢を探す方向を変えるためのテンプレートとして使ってください。
① まず、思いつく夢を全部書く
最初から難しく考えなくて大丈夫です。
今、すでに頭の中にあるものを書きます。
・行ってみたい場所
・欲しいもの
・やってみたいこと
・叶えたいこと
・会ってみたい人
・食べてみたいもの
大きさも気にしません。
「海外旅行」と「気になっていたケーキを食べる」が同じリストにあってもいい。
まずは、自分の中にすでにある未来を外へ出すところから始めます。
② Be|どんな自分でいたい?
次は、「何をするか」ではなく、
どんな自分になりたいか
を考えてみます。
たとえば、
・朝を慌てずに過ごせる自分
・好きなことを仕事の一部にしている自分
・新しいことに挑戦できる自分
・自分の時間を大切にできる自分
・人の評価だけで物事を選ばない自分
など。
「○○を達成する」という夢が出なくても、
「こんな自分でいたい」
なら見つかることがあります。
③ Do|何をしてみたい?
今度は、
人生で経験してみたいこと
を考えます。
・行ってみたい場所
・挑戦したいこと
・学んでみたいこと
・作ってみたいもの
・見てみたい景色
・誰かとやってみたいこと
「一度くらいやってみたい」
程度でも十分です。
できるかどうかは、あとで考えればいい。
まずは候補として、未来の中に置いてみます。
④ Have|何を持ちたい?
欲しいものを書くのも、もちろんOKです。
・自分に合った手帳
・心地よい書斎
・新しいパソコン
・自分の本
・安心できる貯蓄
ここでいうHaveは、物だけではありません。
「自由に使える時間」
「落ち着いて過ごせる場所」
のような、持っていたい環境や状態を書いてもいい。
「何を持っていたら、自分の暮らしは少し楽しくなるだろう?」
と考えてみてください。
⑤ 大切な人|誰と、どんな未来を過ごしたい?
自分一人だけで考えていると、夢が出てこないこともあります。
そんなときは、
「誰と、どんな時間を過ごしたい?」
と考えてみます。
・家族で旅行する
・両親に温泉旅行をプレゼントする
・子どもの挑戦を応援する
・昔の友人ともう一度会う
・大切な人とゆっくり食事をする
「誰かのために何をするか」だけでなく、
誰と、どんな時間を生きたいのか。
そこにも、たくさんの未来があります。
⑥ 社会・仕事|自分の外側に何を残したい?
もう少し視点を広げてみます。
・どんな仕事をしてみたい?
・誰に何を届けたい?
・何を作ってみたい?
・自分の経験を何に変えたい?
・誰かの役に立てるとしたら?
たとえば、
「本を書く」
「自分の経験を誰かに伝える」
「子どもたちのためになる活動をする」
など。
自分が手に入れるものだけでなく、
自分から外へ渡していきたいもの
を考えると、また違った夢が見えてきます。
⑦ 制限を外す|できるかどうかを考えなかったら?
最後は、少しだけ現実を横に置いてみます。
たとえば、
・お金が十分にあったら?
・時間が自由に使えたら?
・失敗しても大丈夫だったら?
・誰にも笑われないとしたら?
・今の仕事や立場をいったん忘れたら?
そのとき、
「本当は、何をしてみたい?」
と考えてみる。
もちろん、書いたことを実際にやるかどうかは別の話です。
でも、
「無理だから」
という理由だけで、考える前から消していた未来があるかもしれません。
夢リストを書く段階では、いったん候補に入れてみる。
選ぶのは、そのあとでいいのです。

夢リスト100を書くときに、やらなくていいこと
夢リストには、いろいろな書き方が紹介されています。
肯定形で書く。現在形や完了形で書く。毎日読む。叶った場面をイメージする。
僕自身も、夢ノートを続ける中で、いろいろな方法を学び、試してきました。
でも、夢リスト100を始める段階では、そこまで書き方にこだわらなくていいと思っています。
「叶いそうな夢」だけを書かなくていい
現実的かどうかを判断するのは、あとでもできます。
まずは、
「こんな未来もいいな」
を外へ出す。
それだけでも十分です。
100個を一日で埋めなくていい
60個で止まったなら、そこでノートを閉じてもいい。
数日後、突然61個目を思いつくかもしれません。
むしろ日常を過ごす中で、
「これもやってみたい」
と気づくことがあります。
一度書いた夢を、絶対に叶えなくていい
これは、とても大切です。
昔の夢リストを見返すと、
「今は、もうこれは欲しくないな」
と思うことがあります。
それでいい。
夢リストは、未来との契約書ではありません。
書いた未来に自分を縛るのではなく、
今の自分がどんな未来を望んでいるのかを知るために使います。
コラム|昔書いた夢を、全部叶えたいわけではない
僕は15年以上、夢ノートを書いてきました。
昔のノートを開くと、本当にいろいろな夢が書いてあります。
実際に叶ったもの。
今も途中にあるもの。
今でも叶えたいもの。
そして、
「これは、もう別にいいかな」
と思うもの。
中には、
「なぜ当時の僕は、これを書いたんだろう?」
と思うものまであります。
でも、それを失敗だとは思いません。
当時は、その未来に何かを感じていた。
その後、いろいろ経験して、自分が変わった。
だから、選びたい未来も変わった。
それだけです。
夢リストの価値は、
100個書いた夢を、100個すべて回収することではありません。
そのときの自分が、
どんなことを望み、
どんな未来に可能性を感じていたのか。
それを、自分の外へ出して見えるようにすること。
昔の夢リストを見返すと、
叶った夢だけでなく、
自分自身がどう変わってきたのか
まで見えてくることがあります。
STORY|「これ、夢だったんだ」
うみは、しばらくノートを眺めていた。
最初は10個しかなかったページに、いつの間にかたくさんの言葉が並んでいる。
旅行。
欲しいもの。
やってみたいこと。
なりたい自分。
そして、その中に一つ。
うみのペンが止まった。
「……これ」
「うん?」
「書くつもりなかったんです」
しいが、うみを見る。
「でも、書いたんだね」
「はい」
うみは、もう一度その言葉を見る。
「できるかどうか考えなかったら、って考えてたら出てきて……」
少しだけ笑った。
「私、こんなことしてみたかったんだ」
しいは頷いた。
「100個書くって、そういうことなのかもしれないね」
「全部叶えることじゃなくて?」
「うん」
しいは、ノートに並んだたくさんの言葉を見た。
「自分には、こんな未来もあったんだって気づくこと」
うみは、もう一度ペンを持った。
「じゃあ、もう少し書いてみます」

夢リスト100の目的は「未来の選択肢」を増やすこと
僕は今、夢リスト100を、
「未来の選択肢を増やすためのワーク」
だと考えています。
普段の生活では、意外と未来について考えません。
仕事がある。
家事がある。
予定がある。
今日やらなければいけないことがある。
そうしているうちに、
今ある選択肢の中から、次の行動を選ぶようになります。
でも、ノートを開いて、
「夢を100個書いてみよう」
とすると、そうはいきません。
10個書く。
20個書く。
そして、止まる。
そこで、
「他には?」
と考える。
すると、
「そういえば、これもやってみたかった」
「こんな暮らしもいいかもしれない」
「これは無理だと思っていたけど、書くだけならいいか」
と、未来の候補が増えていきます。
100個すべてを叶える必要はありません。
100個すべてを目指す必要もありません。
大切なのは、
「自分には、こんな未来もある」
と気づくこと。
未来の候補が一つしか見えていなければ、その中からしか選べません。
でも、未来を書き出していくと、
「あれもある」
「これもある」
「こっちの方が、今の自分には合っている」
と選べるようになります。
だからSeaCretでは、夢リスト100を、
未来の選択肢を、大量に記述するワーク
として捉えています。

夢リストを書いたら、次は一つだけ選んでみる
100個書いたあと、すべてを行動に変える必要はありません。
リストを眺めて、
「今、ちょっとやってみたい」
と思うものを一つ選んでみます。
そして、
「そのために、今できることは何だろう?」
と考える。
たとえば、
「家族で北海道へ行きたい」
なら、
「北海道で行きたい場所を3つ調べる」
でもいい。
「本を書いてみたい」
なら、
「書いてみたいテーマを3つメモする」
でもいい。
夢を小さくする必要はありません。
最初の行動だけ、小さくする。
ここから先は、「夢ノートの書き方」で詳しく紹介しています。

まずは10個。そして「他には?」と聞いてみよう
最初から100個書けなくても大丈夫です。
まずは10個。
思いつく未来を書いてみてください。
そして10個書けたら、ノートを閉じる前に、もう一度だけ自分に聞いてみる。
「他には?」
すぐに答えが出なくても構いません。
少し視点を変えてみる。
Be。
Do。
Have。
大切な人。
仕事や社会。
そして、ときには現実の制限を少しだけ外して考えてみる。
そうやって、
11個目。
12個目。
そして、その先へ。
100個書くことそのものが目的ではありません。
今まで考えていなかった未来まで、考えてみること。
その中から、
「今の自分は、どの未来へ進みたい?」
と選んでいくこと。
夢リスト100は、そのための一つの方法です。
未来を書く。未来を広げる。そして、自分で選ぶ。
それが、SeaCretで考える「夢ノ記述術」です。


